再審法「改正実現を」 袴田さん弁護団が不備指摘 静岡でシンポジウム

 一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今月再審開始が確定した袴田巌さん(87)の弁護士らは25日、静岡市内で開かれた再審法に関するシンポジウム(県弁護士会主催)で、検察官の手元に残されている再審の請求人にとって有利な証拠がなかなか開示されず、再審開始決定が出ても検察官の不服申し立てで救済が妨げられていると批判。各地の弁護士会や支援者と連携しながら再審法の早期改正の実現を目指す重要性を訴えた。

シンポジウムであいさつする袴田巌さん(右)と姉ひで子さん=25日午後、静岡市内
シンポジウムであいさつする袴田巌さん(右)と姉ひで子さん=25日午後、静岡市内

 シンポジウムには袴田さんと姉ひで子さん(90)も出席した。袴田さんは長期拘禁の影響も見られる中で「闘いは勝たなきゃいかん」と語り、ひで子さんは長年の支援に改めて感謝した。
 再審法は、刑事訴訟法の第4編再審を指す。条文が19しかなく規定の不備が長年指摘されてきたが、一度も改正されたことはない。
 袴田事件弁護団の小川秀世事務局長は、証拠開示を巡る問題点を「どのような証拠が存在するのかそもそも分からず、開示されても最も重要な部分は隠されている」と実体験に基づいて指摘。その上で「警察が検察に隠して持っていることもあり得る。当時の証拠目録と合わせ、現在のリストを示すべき」と強調した。
 県弁護士会は2月の総会で、再審請求審での全面的な証拠開示の制度化や再審開始決定に対する検察官の不服申し立ての禁止など、再審法の速やかな改正を求める決議をした。袴田事件弁護団の一員でもある伊豆田悦義会長は「他の弁護士会や弁護団、多くの支援者の力を結集しないと改正は実現できない」と述べた。
 日本弁護士連合会再審法改正実現本部の鴨志田祐美本部長代行は、諸外国の再審法制が日本に比べて充実していることなどを解説した。

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