浜松市長選、市議選 未来のために投票を【記者コラム 風紋】

 無所属新人2氏による浜松市長選は29日、4日目を迎えた。市内では31日に市議選と県議選が告示され、“トリプル選”となることから選挙ムードはいっそう高まり、舌戦はさらに熱を帯びる。人口減少や物価高騰など社会課題が山積する上、市は行政区再編による3区移行を来年1月1日に控えている。大きな節目を迎える中で、将来の浜松を誰に託すのか。有権者はしっかりと見極めて1票を投じてほしい。
 市長選に出馬しているのは、元総務省課長中野祐介氏(53)=自民、公明推薦=、市民団体代表嶋田博氏(74)=共産推薦=。4期務めた現職の鈴木康友氏が今期で退任するため、16年ぶりに新たなかじ取り役を決める選挙になる。鈴木氏は中野氏を実質的に後継指名していて、現市政の路線継承か刷新かを問われることになりそうだ。
 市議選には定数46に対して新人22人を含む62人が出馬を予定し、天竜区を除く6区で選挙戦となる見通し。新人は20~40代が大半を占めている。県議選も7区のうち、天竜、西、浜北以外の4区で選挙戦となりそうだ。有権者には候補者の主張の違いや具体的政策はもちろん、実効性の有無、実績、期待感などにも目を向けてほしい。
 危惧するのは投票率だ。前回選(2019年)は行政区再編の是非を問う住民投票も加わって四つの選挙が行われたことから、市長選だけをみても投票率は55・75%と、前々回(15年)から2・19ポイント上昇した。
 しかし、全体の流れをみれば、投票率が年々、減少傾向にあることは間違いない。前回も有権者の半数近くが投票の機会を放棄したことも確かだ。無投票が増えたことなどによって、市政への「無関心」を招いたためかもしれない。新たな市長や市議には市政への関心を高めるような取り組みを期待したい。同時に市民も、身近な生活に直結する地方自治に関心を持つべきだろう。
 浜松に生まれ、育った。マイホームを構えて生活し、気は早いが、老後も住み続けるつもりだ。トリプル選の投開票は4月9日。市民の1人として、3人の子供の父親として、未来の浜松のために、責任を持って票を投じたいと思う。

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