記者コラム「清流」 頼もしい卒業生

 「コロナ禍を乗り越えた自分たちは強い」。3月中旬、沼津市立第三中の卒業式で代表生徒が3年間の思い出を涙ながらに振り返った後、力強く発した言葉が印象的だった。中学・高校を巣立ったのは緊急事態宣言の中で学生生活を送った生徒だ。
 入学式は2カ月遅れ、授業の大半がリモート。初めて会った友達はマスク姿で目元しか見えず、表情が読み取れない。「名前を覚えるのに苦労した。距離感もなかなかつかめなかった」と生徒。
 「制限ばかりの生活はつらかった」と続けると思ったが、コロナ禍の中、楽しもうと工夫を凝らすことで、「仲間との距離が縮まり絆が深まった。かけがえのない3年間だった」と語った。会場を出る卒業生の背中が一段と大きく、頼もしく思えた。
(東部総局・天羽桜子)

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