検察や裁判官に謝罪要求 袴田さん再審公判、弁護団方針

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判を巡り、弁護団が、袴田さんは捏造(ねつぞう)された証拠で死刑囚にさせられてきたとして、検察官と裁判官に長年の判断の誤りを謝罪するよう求めることが7日、関係者への取材で分かった。
 再審公判に向けた弁護団と静岡地裁、静岡地検による3者協議が10日に地裁で開かれる。弁護団と地検の主張方針を確認し、公判日程などが話し合われる。
 弁護団は速やかに無罪判決を得るため、即日結審を要望する。一日で検察側の論告求刑や弁護側の最終弁論まで行うことが難しい場合でも、判決を含め「公判期日は多くても3回」(西嶋勝彦団長)と主張する。
 その上で、検察側に「積極的な無罪論告」と謝罪を促す。「足利事件」の再審判決公判で裁判官が「真実の声に耳を傾けられず、自由の身を奪う結果になったことを申し訳ないと思う」と頭を下げたことなど過去の先例も考慮し、裁判官にも謝罪を要求する考えだ。
 一方、袴田さんについては長期拘禁の影響を踏まえて出廷の免除を訴える。再審請求審で昨年12月に袴田さんが東京高裁の裁判官と対面した際のやりとりの記録を示すことで、袴田さんの心身の状況を地裁に理解してもらうという。袴田さんの姉ひで子さん(90)が保佐人として出廷する。
 袴田さんの再審開始を認めた3月の東京高裁決定は捜査機関によって重要な証拠が捏造された可能性が極めて高いと言及。検察側が最高裁への特別抗告を断念し、再審開始が確定した。

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