袴田さん再審へ協議開始 検察、主張立証方針示さず「3カ月ほしい」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)と弁護団、静岡地検による非公開の3者協議が10日、地裁で始まった。終了後に記者会見した弁護団によると、検察は主張や立証の方針を示さなかった。「方針を決めるのに3カ月ほしい」として、7月10日までに明らかにする考えを説明した。
次回の協議を5月29日、次々回を6月20日に行う。地裁は証拠調べに必要な確定記録を選別するよう要請したという。検察は主張と立証の方針に加え、取り調べを請求する証拠の範囲についても7月10日に示す。
弁護団の間光洋弁護士は会見で「証拠の範囲を7月10日に明らかにするとなると、主張・立証の方針はその前に決まるはず。打ち合わせ期日で都度、確認していく」と述べた。西嶋勝彦団長は協議の中で地裁に対し「年内の判決を想定してほしい」と伝えたという。
長期拘禁の影響が残る袴田さんの公判への出廷を免除するよう弁護団が求めたことについて、地裁は協議の終盤で判断するとした。
3者協議に初めて参加した袴田さんの姉ひで子さん(90)は「検察官が下ばかり見ているのが印象的だった。何を考えているのか分からなかった」と語った。