記者コラム「清流」 「万機公論」はどこへ

 「広く会議を興し、万機公論に決すべし」―。川勝平太知事は「五箇条の御誓文」を事あるごとに引用し、全国学力テスト結果公表、リニア中央新幹線工事の大井川水問題などを巡って情報公開とオープンな議論を重視してきた。その姿勢は県民の評価につながったと言えるのではないか。
 しかし、未曽有の人災と言える熱海土石流災害ではどうだろうか。急斜面に造成された盛り土(残土処分場)が崩れて28人が犠牲になって2年近く。県は情報開示や検証を限定し、「万機公論」には程遠い。
 ある識者は「検証の徹底は県にとって短期的に試練でも長期的にはプラスになる」と言う。川勝知事は県議会から要請された再検証に応じていないが、全容解明を望む遺族や被災者の思いに寄り添えば、おのずと方針は決まるはずだ。
 (社会部・大橋弘典)

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