「たばこ吸わない、お酒飲まない」健康マージャン シニア層ブーム 沼津で広がる交流

 「お金を賭けない、たばこを吸わない、お酒を飲まない」をルールにマージャンを楽しむ「健康マージャン」による交流の輪が沼津市の自治体を中心に広がっている。健康マージャンの普及を担う沼津健康麻将協会の酒井勝武会長(81)は「不健康のイメージもあるマージャンとは一線を画している。健康マージャンは高齢者の居場所作りが期待できる」と強調する。

実践を通して健康マージャンのルール説明をする酒井勝武会長(右上)=4月中旬、沼津市大岡
実践を通して健康マージャンのルール説明をする酒井勝武会長(右上)=4月中旬、沼津市大岡

 同市の香貫、今沢地区などでは、健康マージャンを楽しむため週に1回程度、地元高齢者が集う。酒井会長は「男女差や体力差がないため、継続性があり、誰でも楽しめる」と話す。中石田自治会(同市大岡)でも、本年度から健康マージャンを定期的に開催する。同自治会の井口義房会長(70)は「交流を深める良い道具になると感じた」と健康マージャンを活動に取り入れようと考えたきっかけを振り返る。
 4月中旬、中石田公民館には健康マージャンのルール説明を受ける地元の高齢者約15人の姿があった。酒井会長の説明で実践を通してハイの組み合わせやゲームの進め方を学んだ。初めてマージャンをしたという主婦の松村初枝さんは「かなり頭を使うと思った。ルールが難しいけど、ハイの組み合わせを覚えたらおもしろそう」と声を弾ませた。
 井口会長は「4人で卓を囲むことで会話が生まれ、仲間作りの輪が広がる。これから定期的に健康マージャンができるようサポートしたい」と意気込んだ。
 健康マージャンは全国健康福祉祭(ねんりんピック)の正式種目。一般社団法人日本麻将協会などは1998年ごろから「健康麻将」と表記している。

静岡県立大 佐々木名誉教授 脳機能活性に効果
 高齢者福祉に詳しい静岡県立大の佐々木隆志名誉教授(66)によると、健康マージャンは、高齢者の社会参加▽脳機能の活性化▽介護予防-に効果的だという。
 高齢者は単独の活動が多く、外出頻度が少ない。健康マージャンはグループで行う競技のため、「複数人と関係を持てる『社会との架け橋』になる」と話す。またルールが複雑で指先を動かすため、脳のはたらきの活性化が期待できるという。
 「健康マージャンが外出のきっかけになれば、歩く時間が増加し、長い目で見れば介護予防になる。高齢者の生きがい活動にもなるだろう」と推測する。

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