⚽藤枝6位進撃の原動力 26歳MF横山暁之 世界を夢見る 藤色の雑草魂【しずスポ】

 フリーターを経てJリーガーになった苦労人が大きな夢を描く。昇格1年目のJ2で現在6位と好調の藤枝で今季から背番号10を付ける横山暁之(26)。チームのJ1昇格を目指すと同時に、3年後のワールドカップ(W杯)出場を狙う。「活躍して自分の力を示すには今年がラストチャンス。1%未満の可能性でも諦めずチャレンジしたい」。ビッグマウスで自らを奮い立たせる。

藤枝―千葉 前半、攻め込む藤枝・横山(右)=12日、藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・宮崎隆男)
藤枝―千葉 前半、攻め込む藤枝・横山(右)=12日、藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・宮崎隆男)

 人懐っこい性格だが、ピッチに入ると表情が一気に引き締まる。「味方のミスや審判の笛に左右されず、自分に焦点を当てメンタルをコントロールする」。プロ意識の原点にあるのは、北陸大卒業から藤枝加入までの苦しかった1年間の経験だ。
 大学4年の夏に左膝を故障して手術に踏み切った。リハビリして半年後に復帰しようとしたが、患部に水がたまって“エラー”。「先が見えず、プロになった同級生を見て劣等感を抱いた」。
 完治しても行き先が定まらず、大学の寮を出てアルバイトをしながら金沢市内で1人暮らし。藤枝には自ら売り込んで練習参加し、年末にようやく契約が決まった。加入後も2年間は不遇だったが、須藤監督に見いだされて昨季から主軸に。今季は「20ゴール10アシスト」を目標に掲げる。
 シャドーストライカーだが、状況に応じて最終ライン近くまで下がり、攻撃の組み立てにも関わる。「前線にパスが来なければ、自分がボールを触る回数を増やし、リズムをつくればいい」。技術の高さだけではなく、運動量も持ち合わせる。
 課題は当たり負けしない強さ。指揮官は「背番号10ならマークされて当然。相手が激しく来ても倒れず、引きはがしてゴールに向かってほしい」と期待する。
 今季はここまで2ゴール3アシスト。前節23日の仙台戦は後半にクロスからドンピシャのヘディングシュートを放ったが、GK正面を突いた。「ゴールまで30メートルでの質を高めたい。突出した個の力で点を取れる選手にならないと」。野望を胸にさらなる飛躍を誓う。

 よこやま・あきゆき 1997年3月26日生まれ。東京都出身。東京Vユースから北陸大に進み、2020年に藤枝加入。22年にJ3でチーム最多の13得点を挙げてベストイレブンに選ばれた。171センチ、64キロで利き足は右。2人の姉と1人の妹に挟まれて育った。

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