浜松市長 知事に退任あいさつ 「成果挙げ、一区切り」 行政区再編や防潮堤整備

 鈴木康友浜松市長は26日、退任あいさつのため、県庁に川勝平太知事を訪ね、市議会で行政区再編の関連条例案が可決されたことなどに触れながら、「自分なりに(4期)16年やってきて、いろいろな成果を挙げることができた。一区切り付いた」と伝えた。川勝知事は「見事な引き際。立派な区切り」とねぎらいの言葉を掛けた。

川勝平太知事(左)と握手を交わし、退任のあいさつを行う鈴木康友浜松市長=26日午前、県庁
川勝平太知事(左)と握手を交わし、退任のあいさつを行う鈴木康友浜松市長=26日午前、県庁

 鈴木市長の就任と川勝知事の静岡文化芸術大(同市中区)学長就任はともに2007年。交流は長く、川勝知事は同市の魅力を国内外に伝える「やらまいか大使」を委嘱されている。
 2人が一番の思い出として挙げたのは東日本大震災を教訓に市と県が連携して遠州灘海岸に整備した全長17・5キロの防潮堤。鈴木市長は「難関を乗り越えて実現したシンボリックな出来事」と話し、川勝知事は地元企業の寄付などで整備した経緯に触れ、「郷土愛が生んだ防潮堤」と評した。
 鈴木市長は後任の中野祐介氏について「政策の一定の方向性は堅持してくれると思う」と紹介し、スタートアップやデジタル、ウエルネスプロジェクトなどの施策を「しっかりと引き継ぎたい」と述べた。懸案として、県が同市西区の遠州灘海浜公園篠原地区に整備する野球場を挙げ、「私自身も応援する。知事にも実現に向けて力をいただきたい」と支援を求めた。
 川勝知事は「中野さんと協力しながら天竜区の活性化に力を尽くす。今後も浜松市の自立を助けたい」と約束した。鈴木市長が政界の人脈を生かして情報収集し、政策提言する「ロビイング」の仕事に関わることには、「器量と経験、実力を持っている。ぴったりの仕事だ。(鈴木市長が1期生だった)松下政経塾の卒業生にも政策提言集団になってほしい」とエールを送り、握手を交わした。

知事選出馬 改めて否定
 鈴木康友浜松市長は26日、川勝知事への退任あいさつ後、県庁で報道陣の取材に応じ、取りざたされている知事選への出馬について「今は一切考えていない」と改めて否定した。
 鈴木市長は今期での退任を表明した2022年10月の記者会見でも知事選への出馬を否定していた。後援会と資金管理団体を解散する方針については「いったんは政治活動を終了するということだ」と説明した。
 一方、「もし、何かあれば、政治団体はすぐに作ることができる」と含みも持たせ、「知事選に絶対に出ないと決めているわけではないのか」との質問には「仮定の話には答えられない」と述べた。

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