第二のフィールドは…お寺 島田の五藤晴貴さん Jリーガーから僧侶に「わくわく大きい」

 Jリーガーから異例の転身を遂げた僧侶が島田市の曹洞宗林入寺にいる。ジュビロ磐田の下部組織出身でJリーグのカターレ富山などで5年間プロ選手として在籍した五藤(旧姓梅村)晴貴さん(27)。ユニホームを法衣に着替え、頭を丸めた五藤さんは「違った世界で楽しい。今はわくわくの方が大きい」と笑顔。穏やかな気持ちで第二の人生のピッチに立った。

修行を終えて僧侶としてセカンドキャリアを始めた元Jリーガーの五藤晴貴さん=26日午後、島田市の林入寺
修行を終えて僧侶としてセカンドキャリアを始めた元Jリーガーの五藤晴貴さん=26日午後、島田市の林入寺
プロデビュー時の五藤さん=2014年、横浜市のニッパツ三ツ沢球技場(五藤さん提供)
プロデビュー時の五藤さん=2014年、横浜市のニッパツ三ツ沢球技場(五藤さん提供)
修行を終えて僧侶としてセカンドキャリアを始めた元Jリーガーの五藤晴貴さん=26日午後、島田市の林入寺
プロデビュー時の五藤さん=2014年、横浜市のニッパツ三ツ沢球技場(五藤さん提供)

 静岡市葵区出身で中盤の選手だった五藤さんは、磐田ユースで高校時代を過ごし、高3時に世代別日本代表に選ばれた逸材だった。2014年に当時J2の富山に入団したものの、毎年のようにけがとリハビリを繰り返し、出場機会に恵まれないまま18年にJFLマルヤス岡崎に移籍。シーズン終了後に引退した。
 僧侶への転身のきっかけは、妻の夏美さん(29)との出会いだった。夏美さんは林入寺の三姉妹の末っ子。五藤さんは義父に当たる住職の秀典さん(66)から「引退したら寺を継いでほしい」と懇願された。
 当初は困惑したが、19年に福井県の永平寺で数日間、僧侶の生活を体験した。「朝早いし寝る時間も少ない」と音を上げそうになったが「なかなかないご縁。やらせていただくしかない」と腹を決め、20年2月に結婚し婿入りした。
 僧侶としての資格取得のため、総持寺(横浜市)で2年余りの修行を終えて、4月下旬に島田に戻った。修行中は長時間の座禅に加え、食生活や睡眠時間が制限された。体重は10キロ減ったが、サッカーで鍛えた精神力で乗り切った。今後は住職を補佐し、葬儀や法要の手伝いに当たる。
 新型コロナウイルス禍で寺での催しが減り若者の寺離れが進んでいるという危機感があり、サッカー選手やサポーターを前に必勝を祈り後押しするイベントを考えていると明かす。「県内のJリーグクラブを応援したい。サッカーに恩返ししながら親しみやすいお寺を目指す」と意欲的だ。

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