学校⇔保護者の連絡 進むデジタル化 欠席遅刻や体温報告/お便りの配信…アプリで

 静岡県内の小中学校と保護者の間で、欠席や体温報告など連絡のデジタル化が進んでいる。従来は電話や用紙が主な手段だったが新型コロナ禍を契機に、保護者と学校双方の負担軽減、ペーパーレス化、情報共有の迅速化などを目的に連絡ツールが普及した。磐田市と湖西市は今春から部署の垣根を越え、市内の公立の小中学校と幼稚園やこども園で同一サービスを本格導入した。

磐田市が導入した連絡ツールの画面。子どもの欠席遅刻の連絡や体温報告などができる
磐田市が導入した連絡ツールの画面。子どもの欠席遅刻の連絡や体温報告などができる

 磐田市は市内の公立の小中学校、保育園、幼稚園、認定こども園の計54施設でICTサービス「CoDMON(コドモン)」を使い始めた。保護者はスマートフォンなどにダウンロードしたアプリから子どもの欠席遅刻の連絡や体温報告をする仕組み。教職員は専用画面で内容を確認する。
 市教委学校教育課によると、これまでは電話や紙での連絡が主流だったが「担任に直接伝えにくい」「友達に欠席連絡用紙を頼むのが難しい」などの悩みが保護者から寄せられてきた。 アプリでは学校からのお便り配信も可能で、試験導入中に各学校に行ったアンケートでは「業務負担が減った」との回答が7割超で「子どもと向き合う時間が増えた」との声も複数寄せられたという。
 全庁的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の中で「保護者目線で考えたらずっと同じアプリが便利」と同課と幼稚園保育園課が連携して同一アプリ導入が決まった。
 湖西市も公立の小中学校と幼稚園など計16施設で「sigfy(シグフィー)」を本格導入した。浜松市は2021年度から公立小中学校と市立高計145施設で「さくら連絡網」を使用していて、23年度中には公立幼稚園56園でも導入予定。
 連絡手段を巡っては文部科学省が20年、地域の実情を踏まえた上でデジタル化推進を呼びかける通知を全国の教育委員会に出した。無償での実施例も紹介しているが、利便性を考慮して有償で実施するケースもある。
 県内全35市町の教育委員会に尋ねたところ、ほとんどの市町でデジタルツールを取り入れていた。ただ、従来通りの紙と電話連絡のみとしている学校も少なくなく、使用状況はそれぞれのようだ。
 デジタルツールを導入した市町の教委職員からは「新型コロナ感染のピーク時には保護者からの電話が1日に100件超に上った学校もあり、デジタル化が一気に進んだ」「これまで学校ごとに作っていた通知も市教委から一斉送信できるようになり、教職員の負担が軽減した」との声が聞かれた。
 

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