サッカー王国復権は児童から 合同トレセン、新リーグ創設…静岡県内で強化の動き

 サッカー王国の復権を目指し、静岡県内で小学生年代の強化に力を入れる動きが広がっている。支部をまたいだ合同トレセンや静岡県内トップチームを集めたSリーグなどを創設する一方、「指導者の育成と周囲の声掛けが重要」と大人の意識改革も進める。関係者は「かつてのようにワールドカップ(W杯)へ静岡県勢を多数送り出すには入り口の小学生から」と未来志向で取り組む。

J2清水アカデミーコーチの指導でプレーする静岡市セントラルトレセンの選手=同市清水区の鈴与三保育成グラウンド
J2清水アカデミーコーチの指導でプレーする静岡市セントラルトレセンの選手=同市清水区の鈴与三保育成グラウンド

 静岡市サッカー協会(県協会中部支部)と清水サッカー協会(県協会中東部支部)は4月から、市内全域から有望な小学生を集めた「セントラルトレセン」を開始した。支部をまたぐトレセンは県内初。5、6年生計36人が参加し、月1回練習会を行い、国内大会参加や海外遠征も計画している。
 練習会場と指導者の確保にはJリーグ2部(J2)清水エスパルスが全面協力。無償で鈴与三保育成グラウンドを提供し、中学生年代を担当するアカデミーのコーチ計5人が指導に当たっている。エスパルスの伊達倫央育成部長(56)は「市民球団として地域の子どもを広く教えたい。この中からいずれユース、トップチームに入る選手が出てくれれば」と期待する。
 同市内の指導者は練習会の見学が可能。同市サッカー協会の鳥羽俊秀理事長(62)は「プロの指導方法を学んで自分のチームに持ち帰ってほしい」と波及効果を期待する。
 選手個人とともにチームを強くしようと、県内全域から小学生年代のトップチームが参加する「Sリーグ」も本年度から本格始動した。S1、S2と2部に分かれ、各リーグ12チームが総当たりで2回通り試合する。1年ごと両リーグの上位と下位3チームを入れ替え、競争を促す方式。
 試合運営で大切な役割を担うのが相互尊重とフェアプレーの精神を浸透させる「マッチ・ウェルフェアオフィサー」。各試合に1人配置し、ベンチの指導者や応援席の保護者らの声掛けが適切か注意を払う。静岡市清水区の強豪クラブ高部JFC代表で同リーグを取り仕切る設楽幸志委員長(47)は「勝つためじゃなく選手を褒めて伸ばすのが大切。県内の小学生が目標とするリーグに育てると同時に、サッカーの楽しさを普及し裾野を広げたい」と意欲を燃やす。

 

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞