静岡人インタビュー「この人」 性的少数者(LGBTなど)の支援団体を本格始動させた 久米泰代さん(浜松市南区)

 性的少数者の分類の一つで、性自認が男女のどちらにも当てはまらない人などを指す「Xジェンダー」。当事者として、同じ悩みを抱える人に寄り添おうと団体「QUEBEC(キュベック)」を2019年に創設した。コロナ禍で活動が制限されていたが、今年4月に本格始動した。建築設計事務所の代表を務めている。42歳。

久米泰代さん
久米泰代さん

 ―主な活動内容と目標は。
 「個人、法人の相談に対応している。最近は市内の宝石店からの依頼で、性的少数者が店を利用しやすくするために通称名での記入欄の作成や、店舗での対応方法、ホームページのレイアウトなどをアドバイスした。最終目標は支援が必要なくなる社会の実現。性自認や性的指向に関係なく、誰もが自分らしく生きられる社会にしたい」
 ―自分の性に違和感は。
 「強い違和感や嫌悪感を抱いた記憶はないが、スカートは苦手だった。小学生のころは周囲の男子より速く走ることができたのに、なぜ男じゃないんだろうと思うこともあった。でも、決して男になりたかったわけではない。20歳ごろまでに男女両方と付き合った経験がある」
 ―Xジェンダーと自覚したのはどのような時か。
 「30代後半に、市民講座で初めて単語を知った。身近に同じ感じ方をする人がいなかったと思うので、自分と同じ人が世の中にいると分かって安心した」
 ―家族へのカミングアウトはどうだったのか。
 「小学3年のころから2人で生きてきた育ての母親に、予想以上に拒絶された。最も身近な存在なので自分もショックが大きかった。だけど、建築の仕事などは積極的に応援してくれているので、全部を否定されたわけではないと考えている」

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