静岡人インタビュー「この人」 Jリーガーから僧侶に転身した 五藤晴貴さん(島田市)

 サッカーJリーグのジュビロ磐田の下部組織出身。カターレ富山などで5年間プロ選手として在籍した異例の経歴を持つ。4月から2年余りの修行を終え島田市の曹洞宗林入寺に戻った。静岡市葵区出身。28歳。

五藤晴貴さん
五藤晴貴さん

 -転身したきっかけは。
 「妻の実家がお寺だったから。妻は三姉妹の末っ子で、住職の義父からは『このお寺を誰かに継いでほしい。現役引退したら継いでくれないか』と言われた。最初は驚いたが、なかなかないご縁。やらせていただくしかないと思った」
 -サッカーへの未練は。
 「けがの多いサッカー人生だった。プロ1年目は肩、2年目は左膝の靱帯(じんたい)、3年目は左足半月板と毎年のように手術とリハビリを繰り返した。磐田ユース時代の監督だった鈴木秀人さんからは『3年やって花が咲かなければやめた方がいい』と言われて送り出された。5年間プロ生活ができてすっきり引退できた」
 -どんな修行をしたのか。
 「総持寺(横浜市)で2年2カ月、僧侶の資格取得のために修行した。座禅が中心の宗派なので最初の1週間は未明から午後9時までずっと壁に向かって座禅を組んだ。食事も制限されて体重は88キロから78キロまでやせた。帰省できたのはお盆時期の5日間のみ。テレビや新聞が見られないので世間で何が起きているのか分からなかった」
 -今後の抱負は。
 「セカンドキャリアとして違った世界を見られてわくわくの方が大きい。今はコロナ禍もあって寺でのイベントが減り寺離れが進んでいる。県内のJリーグクラブの選手やサポーターを応援する催しができれば。サッカー界にお世話になったので、いろいろな形で恩返ししたい」

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