防災の課題 海上から点検 清水港ヨット協会理事長に静大・岩田特任教授

 清水港を拠点にマリンレジャーの普及を目指すNPO法人清水港ヨット協会(静岡市清水区)の理事長にこのほど、静岡大防災総合センター特任教授で元県危機管理監の岩田孝仁さん(68)が就任した。大規模地震・津波の発生時に救援・復旧の拠点になる清水港に防災上の課題はないか、海上から目を光らせている。

約200人の会員と共に清水港の安全管理に協力する岩田理事長=清水港
約200人の会員と共に清水港の安全管理に協力する岩田理事長=清水港

 同協会に登録するヨットと会員数は、主に4人以上が乗る大型艇が51隻134人、1~2人乗りの小型艇が67隻72人。ヨットは清水港のハーバーや三保半島の内浜に係留されている。協会は会員らが参加するレース大会や市民向けの体験乗船会を開催するほか、海岸清掃や救命救急講習などの活動に取り組む。台風が通過すると海岸に大量の流木などが漂着する場合もあり、会員が協力して除去活動を行うなど海岸美化や地域貢献でも汗を流している。
 岩田さんは県職員だった25歳のころ、友人の誘いで小型艇に乗り始めた。「学生時代は山登りが好きだったが、山からはすぐに帰って来られない。県の防災担当になり、災害発生時に帰って来やすい海のスポーツに転向した」と岩田さん。その後、大型艇の共同オーナーになり、伊豆半島など各地に航行している。「海上から見ていると、津波避難階段の維持管理が不十分だったりとか、対策が弱い所がよく分かる」という。
 海上では急な雷雨など、さまざまな危険性と隣り合わせだ。「自然を理解していないと自分の命を守れない。いざという時の判断力が大事で、防災に通じる部分がある」と強調する。体験乗船会に参加する市民には自然の素晴らしさと怖さの両面を伝えながら、ヨット愛好者の拡大を目指す。

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