記者コラム「清流」 自然体の100歳番台

 「昔ながらの銭湯で、100歳の店主が今も番台に座っている」という話を聞き、静岡市葵区の桜湯を訪ねた。店主の小長井正さんは26歳からこの仕事一筋。「健康に働き続けるための秘訣(ひけつ)は」「なぜ、今も銭湯の仕事を続けているのか」など、興味津々で質問をぶつけた。
 だが、小長井さんはどの質問にも真顔で淡々と答えた。「仕事があるから、体がついてきただけ」「この仕事は生まれながらの使命だから。仕事以外にやることなんてないよ」。きっと苦労も重ねてこられてきただろうが、そう自然体で話す姿に、風格が漂った。
 取材の最後に、今後の目標を聞いてみると「どういうふうになろうなんて思わない。イージーゴーイングで生きていくよ」と笑った小長井さん。チャーミングな一面も見せてくれた。
(生活報道部・大滝麻衣)

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