浜松市、家庭ごみ有料化条例案 9月議会提出見送りも 年度内に方向性

 浜松市が家庭ごみ処理有料化に向けた関連条例案について、提出時期のめどとしていた市議会9月定例会への提出を見送ることも視野に検討を進めていることが15日までの関係者への取材で分かった。原油価格や物価の高騰に伴って家庭への負担増が続いている社会情勢などを踏まえ、慎重に検討を続けるという。提出時期については年度内にも方向性を示すとみられる。

浜松市の家庭ごみ年間排出量の推移
浜松市の家庭ごみ年間排出量の推移

 関係者によると、市は9月定例会への条例案提出の可否について最終判断していない。ただ、現状が急転し、早期に家庭の負担が緩和する見通しが立たないことから、提出時期を慎重に見極めるという。
 関連条例案を巡り、市は2022年の市議会11月定例会で、原油価格・物価高騰を踏まえて22年度中の提出を見送り、23年9月定例会をめどに提出したいとした。だが、家庭の負担感の増加に歯止めがかからない状況から、3月の市議会常任委員会では「提出時の社会・経済情勢を踏まえ、提出の可否を再度判断する」と説明した。
 市の有料化制度素案では、従来の指定袋とは別に新たな指定袋を用意し、手数料を上乗せする形で販売して「有料化」を図るとした。袋は1リットル当たり1円の計算で料金を設定。現在1枚10円程度の45リットル入りは45円に値上がりする。

2022年度14万437トン 1・9%減で横ばい
 浜松市が15日までに公表した2022年度のごみ排出量速報によると、家庭ごみの排出量は14万437トンと、前年度から2778トン(1・9%)減少した。家庭ごみ排出量は2年連続で前年度を下回ったが、横ばい状態が続いている。
 市ごみ減量推進課によると、同年度は新型コロナの影響による外出自粛が緩和されて外食が増えたことに加え、物価高騰による買い控えなどもあり、全国的に家庭ごみの排出量は減少傾向にある。さらに、同市では家庭ごみ処理有料化の議論を契機に、市民のごみ減量意識が高まったことも排出量の削減につながったとみられるという。
 同市の家庭ごみ排出量は12年度に16万896トンに上ったものの、指定ごみ袋制度などを導入したことで13年度は14万4888トンにまで減少した。市はその後もごみ減量に向けた各事業を展開したが、効果は薄く、ここ10年間は14万トン台で推移している。
 同課の担当者は「引き続き、家庭ごみの大半を占める雑がみの資源化、食品ロスなどにより生ごみを減少させたい」と話す。

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