静岡人インタビュー「この人」 ウミガメの卵を保護監視する 良知正美さん(御前崎市)

 御前崎市の海岸砂浜に産卵上陸した絶滅危惧種アカウミガメの保護監視を行うメンバー8人の代表。県と市の委託を受け、卵を保護してふ化させている。厳しい自然界で懸命に生きるウミガメに魅了され、活動歴は18年目を迎えた。82歳。

良知正美さん
良知正美さん

 -主な活動内容は。
 「産卵期の5月中旬になると毎朝4時半に海岸へ行き、アカウミガメの足跡を探して産卵の有無を確認する。アカウミガメは地中約50センチの穴を掘って一度に約120~150個の卵を産むが自然条件下では波に流されたり、外敵に食べられたりする危険が高い。安全な場所で人為的にふ化させ、放流している」
 -難しい点は。
 「保護した卵の全てがふ化するわけではない。昨年は9719個を保護し、ふ化率は46%だった。気温や雨量など気象条件に応じて変化するため、ふ化場のコンディションを自然の砂浜の状態に近づけながら、ふ化しやすい環境を見極めなければいけない。管理方法を研究し、試行錯誤している」
 -やりがいは。
 「活動は体力的にきついが、アカウミガメの産卵に遭遇するなど何事にも代えがたい感動に巡り合える。昔、四肢の一部が欠損したアカウミガメの産卵シーンを目撃した時は勇気をもらった。毎年放流する幼体が成長して産卵に戻ってくると思うと胸が熱くなる」
 -意気込みを。
 「近年は上陸産卵するアカウミガメが減少している。砂浜の浸食が進み、海洋ごみの漂着も増えるなど環境悪化が背景にある。海洋環境保護の重要性について理解を深めてもらうためにも保護監視活動の見学会を開くなどアカウミガメと共存してきた御前崎市の伝統を守りたい」
 (御前崎支局・市川幹人)

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