日勤救急隊を試験導入 浜松市、需要増に対応 平日日中に特化、体制充実

 日中に集中する救急要請への対応や多様な働き方ができる職場環境の整備に向け、浜松市消防局は本年度、平日の日中に特化して活動する「日勤救急隊」を試験導入している。2022年の救急出動件数が過去最多を記録するなど、高齢化に伴って救急搬送需要が高まる中、平日日中の体制を手厚くし、市内救急医療体制の充実を図る。

過去10年間の浜松市消防局救急出動件数の推移
過去10年間の浜松市消防局救急出動件数の推移


 日勤救急隊は女性1人を含む4人体制。隊員個人の事情に柔軟に対応できるように配慮して1人多く配置し、3人が出動して残る1人は事務作業に当たる。通常の24時間勤務と異なり、活動は平日の午前8時半~午後5時15分。市消防局警防課に所属し、救急要請が多い市街地を管轄する中消防署(中区)を拠点に活動している。
 22年の救急出動件数は前年比6463件増の4万1391件と初めて4万件を超えた。このうち、午前8時半~午後5時15分の「日中」が2万946件(50・6%)と半数を占めることから、日中の救急対応や市街地を管轄する隊への負担集中などが課題だった。
 救急出動件数は12市町村が合併した05年(2万9710件)の1・4倍にまで増加。需要の高まりを受けて市消防局はこの10年間で2隊を増設したほか、22年は救急資格のある職員を兼務隊として編成するなどして対応してきた。
 日勤救急隊は育児や家庭との両立がしやすく、資格のある女性や定年後の職員らの力を生かせるとして全国で広まりつつある。県内は静岡市が導入している。
 浜松市消防局警防課の担当者は「市民サービスの向上につながるよう運用効果やコストを見極め、本運用に向けて慎重に判断したい」と話している。

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