記者コラム「清流」 味わいたい夏

 夏本番を思わせる暑さが続く中、浜松市北区の製麺所には食卓に涼を届ける“白いすだれ”が並ぶ。静岡県内唯一という手延べそうめん製造を行う「いなさの郷」。半生タイプのそうめん作りは最盛期を迎え、連日早朝から加藤剛社長らが作業に励んでいる。
 長い2本のはしを使って白い麺を延ばし、麺同士が張り付かないよう操る姿はまるで編み物のよう。天候や湿度によって麺の出来が変わるという難しさ。麺と対話しながら真剣な表情で多くの工程をこなす製麺所は、涼とは対局の熱気に包まれていた。
 暑いからこそおいしさが引き立つ冷たいそうめん。ゆで時間は1分半ほどで手軽に調理でき、バテていてもすぐに食べられるのはうれしい。浜松の夏は厳しいが、元気に乗り切るための頼もしい仲間に出会えた。
 (浜松総局・山川侑哉)

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