記者コラム「清流」 「東西南北」の記憶

 藤枝市の自宅裏山にある三角点の朽ちた表示くいが以前から気になっていた。三角点は緯度・経度の基準点。今春、思い切って「新しいくいを自分が設置してもいい」と国土地理院にメールすると、1週間でプラスチック製の物が届いた。
 早速、取り換えに向かう途中で心配になったのが山の荒廃。かつてミカン、茶、タケノコを栽培していた里山に入る人は今やほとんどいない。雨の季節に各地で土砂災害が相次ぐ中、ここも“緑のダム”の機能が大きく低下していそうだ。
 幼少の頃は山で農作業する父母祖父母について行き、周囲を妹と探検したものだった。そう言えば、三角点は山の頂上にあって「東西南北」と呼ばれていた。所有する竹林を少しずつ整備しながら、また子どもが遊べる里山を取り戻せたらと思いをはせている。
 (運動部・寺田拓馬)

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