仕事場の笑顔見え安心 浜松の就労支援施設 AI検知→家族にLINE

 浜松市北区の障害者就労支援施設で5月、利用者の笑顔をAI(人工知能)で検知し、家族に通知して安心感の醸成につなげる実証実験が行われた。笑顔の回数を「見える化」し、幅広い分野に活用する試み。将来的には見守りサービスとしての活用に加え、笑顔の回数に応じて寄付金を贈る事業展開も見据えている。

笑顔を検知し、「ONE SMILE」と表示されたタブレットの画面=5月下旬、浜松市北区のくるみ共同作業所
笑顔を検知し、「ONE SMILE」と表示されたタブレットの画面=5月下旬、浜松市北区のくるみ共同作業所
ポンせんべいの製造作業に励む利用者。タブレット(奥)で笑顔を検知した際、家族に自動通知する
ポンせんべいの製造作業に励む利用者。タブレット(奥)で笑顔を検知した際、家族に自動通知する
笑顔を検知し、「ONE SMILE」と表示されたタブレットの画面=5月下旬、浜松市北区のくるみ共同作業所
ポンせんべいの製造作業に励む利用者。タブレット(奥)で笑顔を検知した際、家族に自動通知する


 実証実験は5月15日から31日、くるみ共同作業所を舞台に進められた。浜松大河ドラマ館(中区)で販売中の土産物、ポンせんべいや乾パンの製造に励む同施設利用者の傍らに、4基のタブレット端末やスマートフォンを設置。カメラで施設内を映し、笑顔を検知すると、画面上に「ONE SMILE(ワン・スマイル)」と表示される。同時に、家族や職員に笑顔を検知したことがLINE(ライン)で自動通知された。
 峰野和仁施設長は「作業中は笑顔の検知が少なく、作業の前後や休憩中には増える」と説明。「利用者の家族が作業所での様子を知り、少しでも安心してもらえれば」と実感を込めた。
 家族からは「子どもが楽しく過ごし、作業中は真剣な表情で仕事に打ち込んでいることが分かった」との感想が寄せられたという。
 実証実験を行ったのは、一般社団法人ワンスマイル・ファンデーション(横浜市)。浜松市がデータ連携基盤の活用によって市民の「Well―being」(幸福感)向上などの課題解決を図るために公募した補助制度に採択された。
 同法人はこのシステムを障害者施設だけでなく、介護や保育施設での見守りサービスとしての活用を視野に入れる。イベントなどでも笑顔の回数や発生時間、発生場所などを計測し、満足度の分析に役立てられるとみる。さらに、利用料として笑顔1回ごとに1円程度を徴収し、市内の子ども食堂に寄付する仕組みづくりも検討している。
 辻早紀代表(42)は「障害者や高齢者に、自分の笑顔が人の役に立ち、別の人の笑顔につながっていることを実感してほしい。システムを通じて笑顔が連鎖していけば」と期待する。
 (浜松総局・宮崎浩一)

 

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