静岡人インタビュー「この人」 探求学習デザイナーとして総合学習を支援 鈴木秀喜さん(島田市)

 昨年度末で教員の職を辞し、学校と事業所を結び総合的な学習をプロデュースする企業の年度内立ち上げを目指す。かつて教壇に立った島田第一中では生徒による地元観光の戦略プラン策定を支援する。30歳。

鈴木秀喜さん
鈴木秀喜さん

 ―教員をやめ、起業を目指したきっかけは。
 「『面白い授業を届けたい』『教育を面白くしたい』という思いが根底にあった。教員として詰め込み型の受験勉強を避けることができず、矛盾も感じていた。課題設定、情報の収集や整理、新たな課題の発見といった課題解決型の学習サイクルに可能性を感じた」
 ―探求学習の効果は。
 「普段知らない、見ようとしない、大人の世界にアプローチするきっかけになる。例えば観光戦略プランを練るにしても、実際に子どもの今持っている力で社会とつながることができる。子どもたちが考えて実行したことは血となり肉となる。生徒の郷土愛を育み、地元企業の魅力を伝えることにもつながるはず」
 ―学校現場における総合的な学習の課題は。
 「手順があらかじめ決まっていて、単なる調べ学習の発表に終わってしまうと教育効果に疑問が残る。子どものアイデアや能力を生かして成果物を出すことが大切。現場は多忙で授業の進め方が分からず、外部とのつながりがなく、企画調整する時間もない場合が多い」
 ―今後は。
 「学校の実態に合わせた探求学習を実現し、企業側にとっても『本物の課題』を解決する授業を提案したい。教育の力で生徒も企業も仕事の見方を変える学習プログラムを届けたい。わくわく働き、わくわく学ぶ人が増えてくれればうれしい」

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