郷土画人・永村茜山の繊細な「徳川十六将図」(藤枝市郷土博物館)【徳川十六神将⑦】

 大河ドラマによる徳川家康への注目を受け、関心が高まる有力家臣の絵図。
 藤枝市郷土博物館は、特別展「徳川家康と田中城」(17日まで)で、地元ゆかりの絵師永村茜山(ながむら・せんざん)作の「徳川十六将図」を初公開した。
 茜山は江戸生まれで、蘭学者や画家として活躍した渡辺崋山の弟子。代官の巡視に随行して描いた「伊豆七島図巻」で知られる。後に遠江の組頭の永村家養子となり、金谷宿の役人となった。
 展示の十六将図は縦約105センチ、横約40センチ。「丁巳小春月寫茜山永邨寛」と記され、安政4(1857)年に何らかの原本を写したとみられる。山水画や花鳥画を多く残した茜山が十六将図を描いた理由は不明だが、髪や鎧(よろい)を表現する細線や武将の風貌の描き分けなど、茜山らしい精緻さが特徴的な絵図だ。
 同館学芸員の海野一徳さん(47)は「郷土画人にとどまらない画力で見応えがある」と太鼓判を押す。
 茜山による十六将図は掛川市にも。同市大坂の大東図書館のミニ企画「もうちょっと家康」では9月3日まで、藤枝の図とは異なる「十六神将軍之図」を飾っている。

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