⚽藤枝順心から世界へ 円熟味増す杉田、憧れ追う千葉 サッカー女子W杯に出身2選手

 サッカー女子ワールドカップ(W杯)がオーストラリアとニュージーランドを舞台に20日、開幕する。2011年以来の頂点を目指す日本女子代表「なでしこジャパン」には藤枝順心高出身のMF杉田妃和(26)=米国・ソーンズ=とFW千葉玲海菜(24)=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース=が入った。順心のサッカーに魅了され青春時代の3年間、藤枝で腕を磨いた2人が、それぞれの思いを胸に世界のピッチに立つ。

サッカー女子ワールドカップに臨む藤枝順心高出身の杉田妃和(左)と千葉玲海菜=6月下旬、千葉市のJFA夢フィールド
サッカー女子ワールドカップに臨む藤枝順心高出身の杉田妃和(左)と千葉玲海菜=6月下旬、千葉市のJFA夢フィールド

 なでしこジャパンが始動して3日目となる6月下旬のJFA夢フィールド(千葉市)。夏の日差しが照りつける炎天下で、2人は激しくボールを奪い合う練習に励んでいた。3学年差があり高校時代は一緒にプレーしていないが、互いの実力を引き出し合うように切磋琢磨(せっさたくま)していた。
 千葉にとって3学年上の杉田は「めちゃめちゃうまい。憧れの先輩」。タイプこそ違うが、年代別W杯で最優秀選手に輝いた杉田を目標としてきた。入学後、杉田の練習着の番号を千葉が引き継いだという。「本当に自分で大丈夫か」。当時高校1年の千葉は不安だったが、この伝統の番号を力に変え、全国制覇も成し遂げた。
 昨年9月、練習試合で右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷。全治8カ月の大けがだったが懸命のリハビリで今年5月に復帰。直近の活躍が評価されて代表に滑り込んだ。「(杉田とのプレーが)本当に楽しみ」。小学生だった12年前、なでしこの頂点をまぶしく見つめたアタッカーは力強く言った。
 杉田にとっては、2度目のW杯となる。19年フランス大会は決勝トーナメント1回戦でオランダに惜敗。「前回は硬いところもあったが、一度経験して悔しさも楽しさも分かっている」。メダル獲得を目標にした21年東京五輪も準々決勝で敗退しただけに、今回に懸ける思いは人一倍だ。
 22年から活躍の場を米国に移した。体格やスピードで上回る相手に「瞬発力や一発の力の重要さを実感した」。筋力トレーニングにも励み、たくましさは増した。ただ同時に持久力を重視する日本サッカーの長所も再発見した。千葉とのプレーに「いいところを出し合えればいい」。苦楽を味わい円熟味を深め、後輩とともに再び世界に挑む。
 (運動部・名倉正和)

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