モザンビークで教育支援 栗山さん(御前崎市出身)の活動絵本に

 御前崎市新野の吉野まゆみさん(65)がこのほど、アフリカのモザンビーク共和国北部の最貧困地区で2009年から教育支援に取り組むNPO法人アシャンテママの栗山さやかさん(43)=同市出身=の活動を紹介する絵本「モザンビークからの手紙」を自費出版した。壮絶な貧困生活を送る少年が、栗山さんが建てた教育施設に通い教師になる夢を抱く物語。貧困対策や教育の大切さを訴え、吉野さんは「日本の子どもたちが新たな行動を起こすきっかけにしてほしい」と語る。絵本は2千冊製作し、県内の公立高校や特別支援学校に寄付する。

栗山さやかさんの活動を紹介する絵本「モザンビークからの手紙」を自費出版した吉野まゆみさん=御前崎市
栗山さやかさんの活動を紹介する絵本「モザンビークからの手紙」を自費出版した吉野まゆみさん=御前崎市
モザンビークで貧しい子どもたちの教育支援を続ける栗山さやかさん
モザンビークで貧しい子どもたちの教育支援を続ける栗山さやかさん
栗山さやかさんの活動を紹介する絵本「モザンビークからの手紙」を自費出版した吉野まゆみさん=御前崎市
モザンビークで貧しい子どもたちの教育支援を続ける栗山さやかさん

 主人公は10歳の少年イザキ。日中は畑を耕して働き、少量の食料や水を家族で分けて飢えをしのぐ生活を送る。治安は不安定で犯罪被害を受けることもあるが、栗山さんの教育施設に通うことで文字の読み書きや計算ができるようになり、先生になる将来目標を掲げる様子を描いた。文中でイザキは「強盗に遭い物を盗まれることもあったが、学んだことは盗まれない」と話し、現地の子ども目線で栗山さんの活動の意義を伝えている。
 絵本製作のきっかけは、命のリスクを背負いながら貧しい子どものために情熱を注いでいる栗山さんの姿に感銘を受けたから。吉野さんは、栗山さんが書いた活動ブログや書籍を読み、本人と連絡を重ねる中で物語を考えた。日本からモザンビークへ物資を届ける支援も選択肢の一つだと考えたが、「同郷の栗山さんの人柄と功績を書物として残したかった」と語る。
 世界中の人に読んでほしいと英語、ポルトガル、スペインの3カ国語に翻訳した。吉野さんは絵本を読んだ感想は人それぞれ違うとした上で「生まれた国によって生活環境や境遇は異なることを子どもたちが知り、世界や社会問題に関心を持つようになればいい」と願う。
 (御前崎支局・市川幹人)

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