投げる力、体操で向上 コロナ「5類」後 静岡県内教育現場取り組みは

 子どもの投げる力の低下が課題となる中、静岡県内の教育現場では、体操やダンスなどを活用した投力向上の取り組みが進む。児童の体力低下を深刻化させた新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に引き下げられたことを受け、教育関係者は子どもの運動習慣の定着に向けて精力的に指導に当たる。

投動作のポイントを盛り込んだ「スローアップ体操」で汗を流す児童=浜松市東区の積志小
投動作のポイントを盛り込んだ「スローアップ体操」で汗を流す児童=浜松市東区の積志小

 浜松市東区の積志小の運動委員会は7月、昼休み体力アップ週間の企画として、投動作のポイントを組み込んだ「スローアップ体操」の時間を設けた。希望者を募ったところ、約500人が集結。軽快な音楽に合わせて腰をひねったり、肩を振ったりする3分弱の体操で汗を流した。1年時から同体操を続ける運動委員長の迫岡楓馬さん(11)は「ボール投げが上手になった」と胸を張る。
 同校体育主任の鈴木研吾教諭(34)は新型コロナ禍の休校や運動制限による児童の運動不足を指摘する。体操の効果を高めるため、動きのこつを書いたカードを体操中に示すなど新たな工夫も始めた。「今後は運動に親しむ機会を増やしたい」と声に力を込める。
 スローアップ体操は2015年度、市内の小学校の体育主任らでつくる「市小学校体育連合」実技部がその頃から課題だった投力向上のために考案した。当時部長だった芹沢一史さん(43)=現市教育センター指導主事=は「ボールを使わず室内でも気軽にできる。子どもが投げるスポーツに興味を持つきっかけになればうれしい」と話す。
 スポーツ庁によると、「ボール投げ」は力強さや運動のタイミングの良さを測る目的で全国体力テストの種目になっている。県内では、小5男子が同種目で過去最低を近年更新し続けるなど、投力低下が課題として注視される。
 県教委はソフトボールなど指導者の小学校派遣事業を続けるほか、今年から投力向上につながる「しずおかダンス動画」の配信も始め、学校現場に活用を呼びかけている。

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