全壊から2カ月、再起へ一歩 台風被害の浜松・舘山寺のポテト店 隣接地に仮設店

 静岡県内各地に深い爪痕を残した6月の台風2号による豪雨被害から2日で2カ月。土砂崩れで建物が全壊する被害を受けた浜松市西区舘山寺町のフライドポテト店「ワンフリット」のオーナー、藤田直弘さん(44)は、常連客や友人から励まし、寄付などの支援を受けて、店舗や隣接するキャンプ場の一日でも早い再開に向けて奮闘中だ。

仮設店舗で接客するスタッフ=7月29日午前、浜松市西区舘山寺町
仮設店舗で接客するスタッフ=7月29日午前、浜松市西区舘山寺町
台風2号による土砂崩れで傾く店舗=6月2日午後、浜松市西区舘山寺町
台風2号による土砂崩れで傾く店舗=6月2日午後、浜松市西区舘山寺町
仮設店舗で接客するスタッフ=7月29日午前、浜松市西区舘山寺町
台風2号による土砂崩れで傾く店舗=6月2日午後、浜松市西区舘山寺町

 「頭が真っ白になって何も考えられなかった」。愛着のある店舗が崩壊した当時の心境をこう明かした。
 県内外から大勢の観光客が足を運ぶ人気店。小さい頃から何度も足を運んだ母の地元、舘山寺で2017年に移動販売を開始し、18年にコンテナの店舗を構えたところだった。地元のジャガイモやサツマイモを使用したフライドポテトを販売。地元の食材を一から地元で消費しようと「ワンフリット」と名付けた。
 当日は午後6時ごろ、「店が倒れている」と連絡を受けて駆け付けると、道路側に傾いている店舗が目に飛び込んできた。豪雨の影響で、隣接するキャンプ場や、人気の水上レジャーSUP(サップ)の体験施設も、水道管が使用できなくなったり、ボードが壊れたりするなど被害を受けた。
 店舗の解体作業は6月下旬ごろにようやく始まり、今も立ち入り禁止テープが張られたまま。土砂撤去が完了するのは8月末の予定という。
 それでも常連客らの支援の声に背中を押され、6月末に3日間限定でキャンプ場の一部を仮設店舗にして露天形式で営業を再開。7月29、30の両日は仲間の声掛けでキャンプ場のオープン1周年記念イベントをチャリティーイベントとして開き、マルシェやワークショップなど県内外から約40店が軒を連ねた。
 藤田さんは「店はなくなってしまったけど、(舘山寺という)場所はある。もう一度、一人でも多くの人にこの場所に多くの人が足を止めてもらうきっかけをつくっていきたい」と力を込めた。
 (浜松総局・小林千菜美)

 

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