静岡人インタビュー「この人」 静岡・用宗漁港でワカメとアカモクの商品開発に取り組む 青木拓磨さん(静岡市駿河区)

 静岡市駿河区の用宗漁港でワカメの養殖と天然アカモクの商品開発に取り組む。黒潮の蛇行や海水温上昇でシラス漁が安定しない中、用宗漁港の新たな魅力として生産拡大に挑む。清水漁業協同組合用宗支所青壮年部の部長。35歳。

青木拓磨さん
青木拓磨さん

 -主な活動内容は。
 「1月から3月のシラスの禁漁期に、1年かけて育てた養殖ワカメの収穫を行う。塩蔵ワカメに加工し販売するほか、収穫した日の朝には採れたての生ワカメを販売する。同時期に漁港内に自生しているアカモクを収穫し、ゆでて細かく切ったものを販売する」
 -始めたきっかけは。
 「ワカメの養殖は長年、青壮年部で続けてきたが、海水温が上昇したことで2017年から不作が続いた。そこで、他の港からもらっていた種苗を、用宗のメカブから取れる種苗に変えた。最初はうまく芽が出ず失敗が続いたが、昨年初めて9・2トンの収穫に成功した。アカモクは網や漁船に絡まり被害を与えることから“ジャマモク”と呼ばれ未利用だったが、スーパーフードとして注目され始めていることを知り、同年から商品化を始めた」
 -苦労したことは。
 「用宗で取れた種苗がうまく育たなかったこと。県職員の協力も得て、水替えを工夫するなど試行錯誤を繰り返した。アカモクは食材として認知してもらっていなかったため、最初は売れなかった。地元の学校や企業とコラボ商品を作って浸透を図り、地元では人気商品になった」
 -今後の目標は。
 「安定して生産を続けていくことで、シラスに並ぶ新しい用宗の特産品として、ワカメとアカモクを根付かせたい」
 (社会部・白鳥壱暉)

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