御前崎市議会 予算議決後変更要求巡り 調査特別委14回、住民不安の声 実態分からず

 御前崎市の民設民営による認定こども園の新設計画を巡り、予算を議決したにもかかわらず市議会の議長ら7人が市に計画変更を要求した問題で、原因を究明する市議会調査特別委員会は22日までに14回の委員会を開き、要望活動した市議や保育業者ら計13人を議事公開の場で参考人招致した。市議らは計画変更を求めた理由について「民設民営に対する住民不安の声があった」と証言。しかし、住民から聞いた意見の詳細内容は明かさず、市内の特定業者と距離の近さも浮き彫りになった。

予算議決後の計画見直し要求の調査特別委員会は14回開かれ、計13人が参考人として招致された=9日、御前崎市役所
予算議決後の計画見直し要求の調査特別委員会は14回開かれ、計13人が参考人として招致された=9日、御前崎市役所

 「地域住民から新こども園に対する不安不満を聴いた」。9日に参考人席でそう語ったのは斎藤佳子市議だ。当時議長を務めていた河原崎恵士氏とともに計画の実施スケジュールや運営手法などの見直し要望を中心的に進め、「地域にもっと説明し、良い事業者に来てほしいという思いで市に軽く提案しただけ」と訴えた。
 だが、委員から誰からどのような不安の声を聞いたのか問われると斎藤氏は「言えない」と主張。21日に参考人として呼ばれた河原崎氏も「世間話で一般の人から不安を聞いた」などと答え、詳細な言及を避ける場面が目立った。
 一方、これまでの調査特別委では、市内の民間保育会社が事業参入に必要な社会福祉法人の設立に向け、要望活動に加わった市議1人を法人役員に内定させていたことが判明した。この業者は結果的に準備期間が足りず同法人の認可取得を断念したが、5月中旬には柳沢重夫市長にも事業参入の意向を伝えていた。
 複数回にわたり傍聴席で議事を見守っていた70代男性は「本当に住民不安の声があったのか実態が分からず、解せない気分だ」と語った。
 同委員会は、28日に開会する市議会9月定例会の本会議初日にこれまでの調査結果を中間報告する方針。委員長の阿南澄男市議は「市民が納得できるまで調査を続ける」と述べた。
 (御前崎支局・市川幹人)

 御前崎市議会の予算議決後計画見直し要求問題 御前崎市議会は3月末に民設民営の新こども園設立に関する施設設計費700万円を全員賛成で議決したが、5月末に当時の議長ら7人が市に対し、事業者の公募開始時期を延期することや公設民営への見直しを求めた行動。議員自らが議決により認めた予算執行だったが、市に計画変更を迫ったため議決事項に反するとして市議会が6月、調査特別委員会を立ち上げた。

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