⚽ジュビロ磐田 20歳の新鋭MF古川陽介 サッカーに飢えた「異端」のドリブラー【しずスポ】

 J2磐田のMF古川陽介(20)=静岡学園高出=が持ち味の突破力を武器に出場時間を伸ばしている。ただ、J2首位の町田に打ちのめされたり、J1相手に躍動したり、まだプレーの振れ幅は大きい。「スタメンで出る試合を増やしたい」。覚醒前夜の若きドリブラーは、いま何を思いピッチに向かうのか。
磐田―神戸 後半、相手と競り合う磐田・古川(右)=7月中旬、ヤマハスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
もっと進化を―― 人と違うこと求め 磨き続けた技  首位攻防戦となった12日の町田戦は中盤左で先発。強度の高い相手の守備を前に特長を発揮できず、後半早々にベンチに退いた。「あの時と似た感じだった」。「あの時」とは高校時代の2021年夏の全国総体準決勝。後に町田の指揮官となった黒田剛監督率いる青森山田高に対し、シュートすら打てず完敗。2年前と同様「何もさせてもらえなかった」。
磐田―神戸 後半、相手と競り合う磐田・古川(右)=7月中旬、ヤマハスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
 一方、7月12日のJ1神戸との天皇杯3回戦は自らの武器が日本トップレベルを相手に通用すると確信した。試合終了間際、元日本代表DF酒井高徳、山口蛍を置き去りにし、右足で鋭くゴールネットを揺らした。「ごりごり行けるようになったのは成長したポイント」。6月のルヴァン杯J1札幌戦でも、目の覚めるようなドリブルシュートを決めた。
磐田―仙台 後半、パスを送る磐田・古川(右)=6日、エコパスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
磐田―仙台 後半、相手と競り合う磐田・古川(左)=6日、エコパスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
 自らを「異端」と言う20歳は、サッカーを始めた幼少期から「目立ちたがり屋」で常に人と違うことを求めていた。同世代の仲間がきれいな新品の洋服を着ているのに対して趣味は古着収集。「面白みがあるし深掘りのしがいがある」。独自のドリブルを追い求めるプレースタイルに通じるものがあるのだろう。
磐田―仙台 後半、ドリブルで攻め込む磐田・古川(右)=6日、エコパスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
磐田―仙台 後半、ドリブルで攻め込む磐田・古川(右)=6日、エコパスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
 ドリブルの技は大きく2種類。足の内側で一度止めて相手と正対し駆け引きする。もう一つは足裏を使って一発で抜き去る。動画サイトでもそのテクニックを惜しみなく伝えているのは「分かっていても取れない」という自信の裏返しだ。
磐田―仙台 後半、ボールを前線に運ぶ磐田・古川=6日、エコパスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
もっと先発で―― 成功と挫折味わい 課題向き合う  その陰で今春からげたを使った体幹を鍛える地道なトレーニングに取り組む。重心の位置を意識することで動きの無駄が減り、終盤でも体力が落ちず、レベルアップが必要な守備にも余裕が生まれたと効果を実感する。「課題に向き合いスタメンを奪い取る」。大きな飛躍を遂げるためには、膝を曲げて沈み込む時期が必ず必要だ。
(名倉正和)
仙台戦で勝利を収め、サポーターに手を振る磐田・古川(中央)=6日、エコパスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
 ふるかわ・ようすけ 2003年7月16日生まれ。滋賀県出身。京都サンガジュニアユース、静岡学園高を経て、22年に当時J1磐田入り。昨季はJ1で7試合に出場し、横浜M戦でリーグ戦プロ初ゴールを挙げた。22年にはU-19(19歳以下)日本代表候補も経験した。20歳。
 

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