「田の虫おーくーれー」 藤枝・岡部町殿地区 豊作願い「虫送り」 子どもら 大たいまつに火
藤枝市岡部町殿地区で23日夜、火の中に飛び込む害虫を駆除し、虫を供養して豊作を祈願する農行事「虫送り」が行われた。子どもから大人まで多くの地元住民が参加し、水田脇の直径30~50センチ、高さ約2メートルの大たいまつに火をともして歩いた。
虫送りは毎年8月23日に実施する伝統行事。戦前、害虫駆除として各地の農村で実施されていたが、戦後は農薬の普及などでほとんど行われなくなった。殿地区でも一時途絶えたが、1980年ごろから村おこしの一環で地元有志が復活させ、今では夏の風物詩になっている。
子どもたちはたいまつを手に、水田沿いに設置された111基の大たいまつに火を付けながら、約1キロのあぜ道を歩いた。鐘の音に合わせて「田の虫おーくーれー」とかけ声を上げた。多くの大たいまつに火をともすと、集落は幻想的な雰囲気に包まれた。
(藤枝支局・青木功太)