物価高騰で家庭の食品寄贈減 静岡のNPO、31日まで受け入れ強化

 長引く物価高騰で、認定NPO法人「フードバンクふじのくに」(静岡市葵区)に一般家庭から寄せられる食品が減少している。新型コロナウイルス禍で同NPO法人を頼る生活困窮者が増加したこともあり、「2014年の活動開始以降、最も食品が不足している」と頭を悩ませる。中元の贈答品が家庭に残っている期間が効果的として31日まで回収拠点を増やし、受け入れを強化する。

寄贈された食品を仕分ける望月健次事務局長=静岡市葵区のフードバンクふじのくに
寄贈された食品を仕分ける望月健次事務局長=静岡市葵区のフードバンクふじのくに
県内各所に設置されている回収ボックス=静岡市葵区の城東保健福祉エリア
県内各所に設置されている回収ボックス=静岡市葵区の城東保健福祉エリア
寄贈された食品を仕分ける望月健次事務局長=静岡市葵区のフードバンクふじのくに
県内各所に設置されている回収ボックス=静岡市葵区の城東保健福祉エリア

 同NPO法人は家庭や企業の余剰食品を引き取り、静岡県内の生活困窮者に無償で届けている。家庭からの寄贈は県内各地に設置した回収拠点で受け入れる。中元や歳暮時期の後の8月と1月を強化月間と位置付けるが、今年1月の寄贈量は13・2トンで前年から6・3トン減少した。8月も中間報告では、前年の半分ほどにとどまっている。
 一方、19年度に約54トンだった生活困窮者への提供量は、コロナ禍を経て22年度に約80トンまで増加した。これまでは高齢者の需要が比較的高かったが、コロナ禍の影響による収入減で、ここ数年は現役世代の依頼者が増えたという。
 同NPOによると、特に米や麺などの主食が不足している。望月健次事務局長(42)は「自分たちで米を購入し、不足分を補っている。こんなことは初めて」と危機感をあらわにした。
 回収拠点は県内各地の行政施設やスーパーなど約300カ所に設置。回収する食品は未開封で常温保存ができ、賞味期限が23年11月以降に限る。望月事務局長は「貧困問題は遠い国の話ではなく、誰にでも起こり得る。人ごとと思わず、支援の手を差し伸べてほしい」と呼びかける。
 問い合わせは同NPO<電054(270)7301>へ。
 (社会部・白鳥壱暉)

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