長期休み中の放課後児童クラブ 昼食の有料提供好評 保護者の負担軽減へ

 静岡県内の「放課後児童クラブ」で、夏休みなど長期休業中に昼食を有料提供するサービスが広がっている。県内では長泉、三島、南伊豆の3市町が全クラブでサービスを導入している。

配達員(右)が届けた弁当。この日は八宝菜、春巻きなど5品が入っていた=24日午前、三島市の山田放課後児童クラブ
配達員(右)が届けた弁当。この日は八宝菜、春巻きなど5品が入っていた=24日午前、三島市の山田放課後児童クラブ

 放課後児童クラブは、就労などの事情で保護者が家庭に昼間いない小学生が通う場所。大半は家庭から手作り弁当を持参していて、共働き家庭を中心に負担を訴える声がある。こども家庭庁はこうした声を受けて今夏、各自治体の担当部署に弁当事業者による配送といった先進地域の事例を示した通知を送付。地域の実情に応じた検討を促し、各地の対応が注目されている。
 三島市は本年度、市内の官民の計29施設で弁当注文の仕組みが整った。このうち公設25施設を指定管理することになったのは、裾野市に事業所がある「トヨタエンタプライズ」(本社・名古屋市)。保護者支援の一環で導入を決定。「暑い中、手作り弁当持参は食中毒が心配だった」「弁当作りは大変なので助かる」などと保護者に好評で、1日あたり出席者の約2割が注文する。
 保護者から事前に提出された利用予定を、同社が取りまとめ「駿豆給食センター」(函南町)に発注する。前日まで追加・取りやめが可能。1食450円でクラブ利用料とともに口座から引き落とす。
 三島市の山田放課後児童クラブでは24日、13個の注文があった。弁当業者の配達員が届けた弁当は冷房の効いた教室で保管し、昼食時に支援員が児童に配った。注文弁当を頬張る児童からは「いつもおかずが違って楽しみ」「家の冷凍食品の弁当と違ってシナシナじゃない」などの声が聞かれた。
 長泉町も数年前から町内全10クラブで弁当注文が可能。保護者が各自インターネットで注文し、業者がクラブ近くまで弁当を届けている。南伊豆町でも町内唯一のクラブで弁当注文を受け付けている。
 (教育文化部・鈴木美晴)

「導入なし」17市町 静岡新聞社調査 地域で対応異なる
 静岡新聞社が8月、県内全35市町の担当部署に尋ねたところ、このほか15市町が「昼食提供のサービスを導入しているクラブが一部ある」と回答した。ただ、「9割以上のクラブで導入している」(富士市)などの事例の一方、週に数回の提供だったり、民間クラブのみでの提供だったりと、地域により事情は異なる。
 「サービスはない」と回答したのは計17市町。支援員の負担、食物アレルギーへの対応、対応可能な業者探しを懸念する声が多かった。また「過去にはサービスがあったが当日朝の注文に対応できず、注文数も不安定で弁当事業者が撤退してしまった」と明かす関係者もいた。保護者と業者が独自に契約して弁当を配送している事例もあった。
 昼食サービスを巡っては富士宮市がニーズを調査中で、藤枝市や静岡市では民間弁当業者を活用した実証実験や試験導入が進行している。

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