⚽生粋のドリブラー、MF榎本啓吾 世界へ野望、挫折経て急成長 藤枝の救世主に   

 生粋のドリブラーが左サイドを切り裂く。14位まで沈んだJ2藤枝を救うのはこの男、大卒2年目のMF榎本啓吾(23)。「ゴール、アシスト、数字にこだわる。チームを勝たせる選手になる」。決意を胸にリーグ戦終盤に向かう。
MF榎本啓吾
 「ボールを置くのは右足の小指と薬指の辺り」。ほぼ右足だけでボールを操り、相手を抜き去る。競技を始めた小学生時代から染みついた自分のスタイルを貫く。「サッカーが好き。遊び心を忘れずプレーしたい」。背番号27にパスが渡るだけで、ホームのサポーターからは期待の歓声が上がる。
 左WBが定位置。今季途中でJ1名古屋に移籍した右の久保藤次郎(24)とのコンビで昨季から藤枝の両翼を担ってきた。J1へとステップアップした同級生に対し、「悔しい。待ってろよ」と対抗心を燃やす。
 挫折を経て大きく成長した。千葉県出身で千葉ユースに所属したがトップチームには上がれず、東海学園大に進学。「回り道をしたが、自分の武器はやはりドリブルだと見つめ直すことができた。大学の4年間があるから、今の自分がある」。
 長所を生かす須藤監督の下で1年目からレギュラーの座をつかみ、課題だった守備面も改善した。パスを待つだけじゃなく、自らボールを奪ってカウンターにつなげる場面も増え、「根本的に負けるのが嫌い。最後まで追いかけ、スライディングで止めるのも役割。90分間通してやれるようになった」と胸を張る。
 今季は「ゴール、アシスト数ともに2桁」を掲げてスタートしたが、まだ2ゴール3アシスト。久保とともにチーム得点王だったFW渡辺りょう(26)もJ1C大阪に移籍し、「自分がやるしかない。ドリブルで抜ききる確率を上げ、回数も増やし、残り試合で達成したい」と意気込む。
 将来はヨーロッパでプレーするのが目標。「まだ成長できる。J2、J1で自分の価値を上げ、プロである以上、日本代表を目指したい」。165センチと小柄な“サッカー小僧”の野望には果てがない。
 (寺田拓馬)

 えのもと・けいご 千葉ユースから東海学園大に進み、2022年に藤枝へ加入した。中京大出身の久保藤次郎(J1名古屋)とは大学時代から対戦経験があり、東海学生選抜ではチームメートだった。「藤次郎が行くと聞いて面白いと思った」と藤枝を選んだ理由を振り返り、「今もライバルで互いにいい関係。負けられない」と闘志を燃やす。

藤枝―金沢 前半、駆け上がる藤枝の榎本(右)=7月22日、藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・宮崎隆男)藤枝―金沢 前半、攻め上がる藤枝の榎本(右)=7月22日、藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・宮崎隆男)藤枝―金沢 後半、シュートを放つ藤枝の榎本(左)=7月22日、藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・宮崎隆男)

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