初公判、10月27日提示 袴田さん再審で静岡地裁 「年度内に結審したい」

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの、今年3月に裁判のやり直し(再審)が決まった袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁(国井恒志裁判長)は12日、弁護団と静岡地検との第5回3者協議で、初公判の候補日として10月27日を提示した。国井裁判長は「本年度内に審理を終わらせたい」と述べ、来年3月27日まで計12回の公判候補日を伝えた。

3者協議のため静岡地裁に向かう袴田巌さんの姉ひで子さん(中央)と弁護団=12日午後、静岡市葵区
3者協議のため静岡地裁に向かう袴田巌さんの姉ひで子さん(中央)と弁護団=12日午後、静岡市葵区

 協議終了後に弁護団が記者会見し、明らかにした。弁護団は初公判の期日を受け入れる考えで、早ければ次回9月27日の3者協議で指定される。地検は「争点整理が煮つまっていない」と懸念しつつ、特に反対意見は述べなかったという。
 再審公判で有罪を立証する地検は、事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」に付着した血痕の色について「赤みが残る可能性がある」とする法医学者7人による共同鑑定書などの新証拠を再審開始確定後に作成。弁護団は証拠調べ請求を却下するよう求めているが、国井裁判長は採用する意向とみられ「(鑑定書作成者らの)証人尋問は必要になるだろう」との見通しも示したという。
 地裁が候補日として挙げた初公判以降の期日は11、12月と来年1、2月に各2回ずつと3月の3回。弁護団は判決時期について、希望的観測とした上で「短く見ても結審から3カ月は必要と思われ、6月末ごろが想定できる」と推測した。
 (社会部・佐藤章弘)

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