学習、生活の困り事に対応 学校「支援員」静岡県内も需要増

 学校で子どもたちの困り事に対応する「支援員」のニーズが高まっている。授業の流れに乗り遅れた子どもに声をかけるほか、離席して立ち歩いた時に寄り添うなど、学習と生活の両面で支援に当たる。文部科学省の来年度当初予算の概算要求でも、重点項目に位置づけられた。県内の学校現場で、教室の様子を取材した。式の考え方を友達同士で話し合う場面。支援員の伊藤厚子さん(右から2人目)は児童に声をかけ、発言を促した=9月上旬、長泉町立南小
 町内にある小学校全3校の低学年クラスにそれぞれ1人ずつ「小学校1・2年生支援員」を配置している長泉町。9月上旬、町立南小1年のクラスの算数の授業で、児童は「とまとが15こあります。2こたべると、のこりはなんこになりますか」という文章題に取り組んだ。同学級の支援員の伊藤厚子さんはノートを書く手が止まった児童に「ブロックを動かしてみよう」と促した。児童は自ら手を動かし、数を確認した。
 児童が集中している時は教室後方から見守る。姿勢が崩れたり、机の上の準備が整っていなかったりした時は、そばで声をかける。児童が学びに集中できるように行動を促し、励ます役割を担っている。
 支援員歴8年目の伊藤さんは「明るく接して児童が安心できる雰囲気づくりを心がけている」とほほ笑む。1年担任の落合仁美教諭も「児童が自分でできることが増えている」と説明する。
 同町教育推進課によると、町独自の支援員制度は2003年度に始め、本年度は計25人を配置している。小学校生活の初期に担任と2人体制を整え、児童の生活・学習習慣の基本を確立するのが目的だ。30~50代の子育て経験のある女性が主で、中には教員免許を持つ人もいる。
 担任が授業を進める傍らで、離席したり手いたずらを始めたりする児童に支援員が個別に対応できるようになり、学級全体が落ち着いて授業に取り組める効果がみられるという。
 県内では同町以外にも、市町独自の事業として学校に支援スタッフを置く自治体は少なくない。01年度から支援員を配置している藤枝市。制約の多い新型コロナ禍で過ごした子どもたちの学校生活のスタートを手厚く支えるため、「学校生活支援員」を20年度に新たに40人置き、本年度はこうした支援員が小中計27校で100人超活動している。
 国の補助を受け、県も本年度、同様の役割を担う「学び方支援サポーター」を県内の小中学校に計85人配置している。
 (教育文化部・鈴木美晴)
支援員の1日の主な流れ
 文科省、拡充へ予算計上
 こうした支援スタッフは法律で定義されておらず、名称、必要な資格、仕事内容、勤務条件などはそれぞれ地域ごとに異なっている。ただ、子ども一人一人へのきめ細かな対応のほか、教員の負担軽減の効果が期待されていて、全国的に需要が高まっている。
 文科省は学校での生活補助のほか、習熟度別学習への対応、不登校や外国人の子ども支援などを行う「学習指導員」の拡充を目指し、来年度当初予算の概算要求に45億円(前年度予算額36億円)を計上した。

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