戦国時代の静岡、家康 歴史ひもとく 城郭研究者ら駿府城解説

 織田信長と豊臣秀吉の時代を考古学で掘り下げる城郭研究者らでつくる「織豊期城郭研究会」(代表・中井均滋賀県立大名誉教授)はこのほど、研究集会を静岡市葵区のアイセル21で開いた。

駿府城跡天守台発掘調査の成果を報告した増山さん=静岡市葵区のアイセル21
駿府城跡天守台発掘調査の成果を報告した増山さん=静岡市葵区のアイセル21

 市歴史文化課の増山慎発掘調査員(49)が、駿府城跡における天守の土台の石垣「天守台」発掘調査(2016~19年度)の成果を発表した。徳川家康の大御所時代の慶長期に加え、5カ国大名時代の天正期の天守台が見つかった成果を報告。規模の大きさや金箔(きんぱく)瓦の出土から「天正期の駿府城は、豊臣政権下における家康の役割の大きさを体現していたと考えられる」と説明した。
 シンポジウム「天正期駿府城から見た豊臣政権の城郭政策」も行われた。築城における秀吉の関与について、文献史の研究者は、同時代の史料からは明確な命令は読み取れないと解説。一方で考古学の研究者は、それまでの家康の城になかった金箔瓦や石垣が見つかり、秀吉が関与した可能性もあるとの見方を示した。
 集会は駿府城跡天守台発掘調査にちなみ、コロナ禍を経て静岡市で実施した。同研究会は今集会をもって活動を休止する。
 (教育文化部・鈴木美晴)

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