記者コラム「清流」 遠いデジタル化

 沼津市をはじめ静岡県東部の自治体で、亡くなった人に関する手続きをワンストップでできる「おくやみコーナー」の設置が進んでいる。多くは予約制で、正直にいえば「予約してまで依頼する人はいるのだろうか」と思っていた。
 ところが、先日浜松に住む母が亡くなり、その必要性を痛感した。市役所の窓口を何カ所も巡り、何枚も手書きで書類を書いて出すのは、葬儀を終えたばかりで疲れた身にこたえた。死亡届を出して戸籍に記載されるまで数日かかるため、必要な書類を後日請求する手間も出た。確かに日を置いて一度にできれば楽だ。
 だが、そもそもこんなに書類を手書きして出す必要はあるのだろうか。人の死に関する手続きは慎重さも必要と思うが、「日本のデジタル化は遠い」と思わざるを得なかった。
(東部総局・尾藤旭)

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