記者コラム「清流」 「ネットが現実」の幻想

 対話形式で指示や質問を繰り返して文章を作る生成AI「チャットGPT」をテーマにした取材で、専門家に生成AIの仕組みを聞いた。生成する文章はインターネットの情報を基にしているので、ネットにない情報は「現実にないもの」と見なされるという。
 ネットに掲載されていない重要情報は山ほどある。ネットの情報が全て正しいとも限らない。例えば、熱海土石流の原因解明につながる行政文書。数千ページがネットに掲載され、県や市は「情報を隠さない」と強調していた。しかし、取材してみると肝心な文書が掲載されなかったり、掲載した文書も肝心部分が判読できなくなったりしていた。
 AI専門家からは「検証者としてのメディアの役割が増す」と言われた。ネットにない重要情報をしっかりと掘り起こしたい。
(社会部・大橋弘典)

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