浜松市 全国初多言語化システム構築 外国人市民に災害情報“速報”

 浜松市はこのほど、外国人市民に正確な災害情報を迅速に提供するため、定型作業を自動化するデジタル技術「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を活用し、災害時の緊急情報を多言語化するシステムを全国の自治体で初めて構築した。日本語からの翻訳を正確、迅速に行うため、多言語版防災メールの配信までの時間が大幅に短縮し、外国人市民に正確な情報をリアルタイムで提供できるようになる。

浜松市が構築した災害情報の多言語化システム
浜松市が構築した災害情報の多言語化システム

自動で正確翻訳→メール配信 日本語との時差解消  同システムは日本語で作成した災害情報を、RPAがデータベース上のテンプレートから自動的に多言語に翻訳する仕組み。全国自治体で行われている職員や自動翻訳機能による多言語化の際に課題となっていた「スピード」と「正確性」の双方に対応しているという。
 多言語化は「ポルトガル語」「英語」、漢字や難解な表現を分かりやすく言い換えた「やさしい日本語」の3種類。市内はブラジルやフィリピンの出身者、日本滞在歴が長い定住者らが多いことから、市は外国人市民の7割程度に対応できるとみている。
 市の多言語版防災メールはこれまで、市職員らによる翻訳や確認作業のため、日本語版よりも30分~1時間程度配信が遅れていたが、システム導入によって、日本語版との時差はほぼ解消されることになる。
 市には県内で最も多い約2万8千人の外国人市民が暮らす。異常気象による大雨被害などが頻発する中、外国人市民は言葉の問題から災害弱者になる恐れがあるため、市は2022年度から民間企業と協力し、システム構築を進めていた。
 ただ、外国人市民の防災メール登録者は600~700人程度にとどまり、市は今後、メールの周知に努める。市国際課の担当者は「災害情報を早期に届ける仕組みができたので、多くの外国人市民に活用してほしい」と話している。
 (浜松総局・宮崎浩一)

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