富士彦さん「沼津への恩返し」 駅周辺のごみ拾い9年 静岡県住みます芸人

 吉本興業の「静岡県住みます芸人」として2014年に沼津市に移住したタレントの富士彦さん(50)が約9年間、JR沼津駅周辺の清掃活動に取り組んでいる。「温かく迎えてくれた沼津への恩返し」と始めた活動は、6月に市自治会連合会の関連団体から表彰も受けた。「楽しみながら街をきれいにしたい」と清掃イベントの開催も思い描く。

火ばさみを使ってたばこの吸い殻を拾う富士彦さん=2日午前、沼津市のJR沼津駅南口
火ばさみを使ってたばこの吸い殻を拾う富士彦さん=2日午前、沼津市のJR沼津駅南口

 大阪市出身の富士彦さんは、漫才コンビや新喜劇メンバーとしての活動を経て、14年7月の「沼津ラクーンよしもと劇場」の開場と同時に移住した。開場から半年ほど過ぎた頃、「地域のためにやれることは何かないか」と始めたのが、沼津駅前の劇場周辺のごみ拾い。法被を着て劇場のPRも兼ねながら「ごみ分別収集の先駆けとして知られる沼津市にぴったりの活動と思った」と振り返る。
 月に1~2回、時折芸人仲間も誘い、公演の前などにごみ袋を手に駅の周辺を1時間半程度かけて巡る。「長年やっていると、ごみが隠れている植え込みが分かるようになった」と苦笑しつつ、ポイ捨てされた空き缶やたばこの吸い殻を丁寧に拾い集める。「新型コロナウイルスの影響か、ごみが少ない時期が続いたが、ここ最近はまた増えてきた」と、街の変化もごみから実感する。
 6月には、市環境衛生自治推進協会の会長表彰を受けた。「本来はごみ拾いする必要がないのが、理想の姿」としつつ、子どもたちを巻き込んだ清掃イベントの開催を夢にする。「子どもがポイ捨てされるごみの現状を知れば、大人になっても捨てなくなる」と考える。
 富士彦は本名で、母親が新幹線に乗車中、富士山が見えたところで陣痛が始まったというのが由来。「富士山で結ばれた」という沼津との縁も来年で丸10年。「沼津を移住先に選んで本当に良かった。これからも沼津を盛り上げたい」と誓う。

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