防災教育でタッグ 沼津河川国道事務所×小学校 内容充実、続けやすく

 国土交通省沼津河川国道事務所は狩野川流域市町の小学校と連携した防災・河川環境教育を展開している。同事務所と学校が一緒に授業内容を決めて教材を用意し、先生が授業する珍しい形式。職員が学校に出向いて講義する「出前講座」に比べて中身が充実し、続けやすいという。一度始めた学校は全て継続し、今年は24校で実施している。

地震と津波の備えを考える児童。学校と国土交通省沼津河川国道事務所が連携して授業内容を決めた=沼津市立第二小(写真の一部を加工しています)
地震と津波の備えを考える児童。学校と国土交通省沼津河川国道事務所が連携して授業内容を決めた=沼津市立第二小(写真の一部を加工しています)


 「沼津市の偉い人になったつもりで対策を考えてみよう」。6日、沼津市立第二小で行われた授業。4年1組担任の吉村瑠璃教諭が呼びかけた。児童は南海トラフ巨大地震の被害のシミュレーション動画を視聴し、考えをまとめて発表した。
 今年実施校になった同校は、同事務所と10回ほど話し合い、授業内容を決めた。通常は風水害を想定した内容が多いが、津波浸水域に位置することから地震と津波にも時間を割いた。渡辺潤校長は「風水害は台風で経験するが、津波の経験はなく意識が浅い」と学ぶ意義を強調する。
 同事務所は過去、出前講座に注力していた。ただ、職員の指導力によって習熟度に差がつき、限られた職員数では継続・拡大が難しい。その課題を解消するため、2016年に連携授業をスタート。1年目は時間をかけて授業内容を検討し、2年目以降は支援に回る。学校からも「防災についてしっかり学べる教材はない。作ってもらえると授業の厚みが増す」(渡辺校長)と好評だ。
 授業終了後は保護者にアンケートを実施する。同事務所流域治水課の大場浩樹課長は「学んだ内容を子どもから親世代に伝え、地域の防災力を高めてほしい」と期待する。今後、実施校をさらに増やす考えだ。
 (東部総局・矢嶋宏行)

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