罹患の悩み共有を 三島で静岡がんセンター講座 

 静岡県立静岡がんセンター公開講座2023「ここまで進んだ!最先端のがん医療」(静岡新聞社・静岡放送主催、スルガ銀行特別協賛)の初回講座が14日、三島市民文化会館で開かれ、医師2人が講演した。上坂克彦総長は、がんに罹患(りかん)したら不安や悩みを1人で抱え込まず、家族や友人らに話すよう勧めた。「気持ちを共有してもらうだけでとても楽になる」と話した。

県立静岡がんセンター公開講座で、がんに罹患した時の心構えを語る上坂総長=三島市民文化会館
県立静岡がんセンター公開講座で、がんに罹患した時の心構えを語る上坂総長=三島市民文化会館

 落ち着いて科学的に正しい情報を収集し、困りごとがあれば病院や支援機関に相談することも呼びかけた。同センター開院からの20年間でがん医療は大きく進歩し、年齢構成比の変化を加味した死亡率は着実に低下していると説明。能動喫煙、ウイルスや菌の感染、飲酒が三大リスク要因だとして、日常生活における予防や定期的な検診の重要性を訴えた。
 ゲノム医療支援室の釼持広知室長は、がんの原因となった遺伝子変異に合わせて治療する「がんゲノム医療」について講演した。遺伝子パネル検査で遺伝子変異を調べ、変異に応じた治療薬を使って高い治療効果を得た肺がん患者の事例を紹介。検査に基づき治療できた患者の割合は当初の3%台から9%台まで上昇したとされ、釼持室長は「多くの患者に治療法を伝えられる時代がきっと来る」と力を込めた。
 会場とオンラインで合わせて約320人が視聴した。講座は全5回。11月11日の第2回は免疫薬物療法と膵がん治療がテーマ。
 (東部総局・矢嶋宏行)

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