東日本大震災経験の元中学校長 被災生徒の「心の復興」語る 「逆境に立ち上がる強さある」 静岡南中で防災学習講演会

 静岡南中はこのほど、防災学習の一環として、東日本大震災の当時に宮城県石巻市立雄勝中の校長だった佐藤淳一さん(63)=仙台市=を招いた講演会を開いた。静岡南中の全校生徒約550人が雄勝中の被災状況や、生徒と力を合わせて「心の復興」を目指した過程について学んだ。

当時の雄勝中の被災状況などについて話す佐藤さん=静岡市駿河区
当時の雄勝中の被災状況などについて話す佐藤さん=静岡市駿河区


 佐藤さんは、雄勝中の生徒は震災後も全員無事だったものの、家や家族を失った喪失感から「生きている意味が分からない」と悩む生徒がいたと説明。生徒たちには心の復興が必要だと考え、古タイヤにビニールテープを貼って作った「復興輪太鼓」による演奏活動を生徒に提案し、活動などを通じて生徒が誇りや生きる活力を取り戻していったことを紹介した。
 「人の命ははかないが、同時に人はどんな逆境でも立ち上がる強さを持っている」と佐藤さんは強調し、日頃から人との関わりを大事にしながら前向きに生きていく大切さを訴えた。
 静岡南中2年の新谷芽生さんは「帰る家や着る制服が当たり前にある意味をもう一度考え、日々を一生懸命生きていきたい」と話した。
 (社会部・五十嵐美央)

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