記者コラム「清流」 「口撃」は違う

 全国的にクマの目撃例が増え、渦中の自治体には駆除に対する抗議が押し寄せている。生息地である富士山麓の猟師たちも不安を募らせている。
 静岡県では保護対象として、人里に姿を見せた個体は森に追い返している。富士宮の農場が襲われた2年前、ワナにかかったクマの映像が報道されて猟師や行政には批判的な意見が寄せられた。暴れるクマが痛々しいとの内容だ。撃ち殺していないのに…。
 富士山麓の猟師は主にシカやイノシシを狩っている。狩って防げる農作物被害がある。後継者確保など課題もあるが、ある猟師は「紹介してほしいけれど怖い」とこぼす。抗議には身の危険を感じる内容もあったという。動物の命を尊ぶ考えはそれぞれだが、脅迫に近い抗議の仕方は絶対に間違っている。

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