EV、電子決済 すでに浸透 先端技術の近未来都市【浙江点描 省都杭州の今㊥】

 スタイリッシュな中国メーカーの車が行き交う浙江省杭州市街。日本ではなじみ深い軽乗用車のタイプは見当たらない。電気自動車(EV)の世界販売台数トップの米テスラの高級車は、目の前を何台も横切っていった。

スタイリッシュな車が行き交う杭州市街。EVは緑ナンバーを付け、一目で日本よりも普及していることがうかがえる=10月上旬
スタイリッシュな車が行き交う杭州市街。EVは緑ナンバーを付け、一目で日本よりも普及していることがうかがえる=10月上旬
アジア大会の報道関係者の活動拠点「メインメディアセンター」に設けられたアリババグループの「Alibaba Cloud(アリババクラウド)」のPRブース。大会にもサービスを提供した=9月中旬、杭州市
アジア大会の報道関係者の活動拠点「メインメディアセンター」に設けられたアリババグループの「Alibaba Cloud(アリババクラウド)」のPRブース。大会にもサービスを提供した=9月中旬、杭州市
スタイリッシュな車が行き交う杭州市街。EVは緑ナンバーを付け、一目で日本よりも普及していることがうかがえる=10月上旬
アジア大会の報道関係者の活動拠点「メインメディアセンター」に設けられたアリババグループの「Alibaba Cloud(アリババクラウド)」のPRブース。大会にもサービスを提供した=9月中旬、杭州市

 静岡県の3倍以上に当たる約1200万人の人口を抱える杭州市。国外メーカーの高級車に加え、同市に拠点を置く「吉利汽車(GEELY)」やテスラに次ぐEV世界販売シェアを誇る「比亜迪(BYD)」など国内メーカーの車が数多く走る。その近代的なデザインに思わず目を奪われた。
 現地の中国人に「青ナンバーを付けているのはガソリン車、緑ナンバーはEV」と教わった。街行くナンバーを見た限り、EVは3割程度。中国政府はEVとプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を新エネルギー車(NEV)と位置付け、製造や販売を後押しする。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、中国の2022年自動車販売台数のうち、NEVのシェアは25・6%に達したという。一方、EV市場の競争激化で自動車メーカーの相次ぐ廃業の問題も報じられている。
 中国八大古都に数えられる杭州は、電子商取引大手「アリババグループ」創業の地としても知られ、デジタル産業都市の側面を併せ持つ。グループ会社が運営する電子決済「Alipay(アリペイ)」は、中国で普及したサービスの一つ。コンビニ店、カフェ、タクシーに限らず、街角の小さな食堂の支払いでも電子決済を使用できない場面はなかった。
 タクシーを利用した際、あえて現金を使って支払ってみた。運転手の男性は苦笑いを浮かべると、少し面倒くさそうに紙幣を数えて受け取った。別の中国人にこの話をすると、「現金は使わないから要らないんだよ」と軽く笑われた。
 EVや電子決済など先端技術が浸透した「近未来都市」-。日本が向かっている先の姿が既にそこにあった。課題を抱えつつも突き進む中国の圧倒的な勢いを見せつけられ、日本との差を感じずにはいられなかった。

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