J1昇格と育成「満点」 ジュビロ磐田の横内監督、自主性尊重と厳しさで若手飛躍

 12日に宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで行われたサッカーJリーグ2部(J2)最終節で、ジュビロ磐田は栃木SCに勝利し、逆転でのJ1自動昇格を決めた。磐田の横内昭展監督(55)は敵地に駆け付けたサポーターの前で何度も宙を舞った。胴上げの輪をつくったのは1年間苦楽をともにした選手たち。横内監督は「覚悟を持ってクラブに残り成長してくれた。昇格を果たせたので100点」と選手をたたえた。

J1昇格を決め、選手とともに喜ぶ横内昭展監督(右)=12日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ(浜松総局・山川侑哉)
J1昇格を決め、選手とともに喜ぶ横内昭展監督(右)=12日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ(浜松総局・山川侑哉)
選手に指示を出す横内昭展監督=12日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ(浜松総局・山川侑哉)
選手に指示を出す横内昭展監督=12日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ(浜松総局・山川侑哉)
J1昇格を決め、選手とともに喜ぶ横内昭展監督(右)=12日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ(浜松総局・山川侑哉)
選手に指示を出す横内昭展監督=12日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ(浜松総局・山川侑哉)

 今季日本サッカー協会で仕事をした藤田俊哉スポーツダイレクターから三顧の礼で迎えられた。ワールドカップカタール大会で森保一監督を支えた名参謀が掲げた目標は「チームの基盤づくり」。外国人選手の契約に関する問題で国際サッカー連盟から今季の補強禁止処分を受けたチームを立て直し、J1に復帰させる。結果と育成を求められる難しい船出だった。
 シーズン序盤は苦しんだ。ファジアーノ岡山との開幕戦はホームで3点を先取されて敗戦。「自分の甘さがあった」。春先は勝ちが続かず、波に乗れない時期が続いた。
 上昇気流に乗ったのは、初めて連勝を飾った5月から。夏場には主力と控えで実質2チームを編成し、過酷な連戦を11戦負けなし。何より長丁場で一度も連敗がなかったのが大きい。背景には今季大きく飛躍した高校3年の後藤啓介(磐田ユース出)や高卒2年目の古川陽介(静岡学園高出)ら若手の台頭があった。
 「若い選手は自分をただのおじさんだと思っている」と冗談交じりに言う。目線を下げて親子ほど年の離れた若手から意見を聞く姿勢を忘れなかった。「おもしろい発想を大事にしたい」と自主性を重んじる一方、「甘さや緩さに対しては僕も言う」とメリハリを付けて手綱を締めた。
 選手やスタッフから「ヨコさん」と呼ばれて慕われる。サンフレッチェ広島時代にともに戦ったミハイロ・ペトロビッチ現コンサドーレ札幌監督を師と仰ぐ。練習中の良いプレーには、恩師がよく使った「ブラボー」と大きな声で選手を鼓舞し続けた。
 家族を広島に残し、単身で磐田にやってきた。練習後も夜遅くまでスタッフと対戦相手の分析に励み、晩ご飯はコンビニや牛丼チェーン店が中心の生活。一日の疲れを癒やす缶ビールを開けても、サッカーが頭から離れることはなかった。逆転での自動昇格を勝ち取り「ゆっくりだが、歩み続けられた。もうJ2に戻るのは繰り返したくない」。就任1年目を充実感たっぷりに語ると、早くも来季に目を向けた。
 (運動部・名倉正和)

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