松崎・雲見地区、砂防えん堤整備進む 軟弱地盤対応の工法 昨年台風で土砂流出被害

 2022年の台風8号で土砂流出被害を受けた松崎町雲見地区で、県下田土木事務所が砂防えん堤整備に取り組んでいる。軟弱な地盤でも低コストで早期建設が可能な「EPルートパイル工法」を採用し、24年3月までの完成を目指す。

EPルートパイル工法を用いた砂防えん堤整備が行われている現場=松崎町雲見
EPルートパイル工法を用いた砂防えん堤整備が行われている現場=松崎町雲見


 同事務所によると、現場は雲見川上流部に位置する支川の2カ所。不安定な土砂が上流に残存しているため緊急工事が必要という。現場は地盤が雨で軟化して緩くなるなどの特徴がある上に道幅が狭く、大型の重機が運び込めない。
 従来の軟弱地盤の工事では、えん堤の基盤をコンクリートに置き換えるため、強固な地盤のある位置まで掘削する必要がある。同工法では鉄筋のくいを網目状に打ち込んで地盤を補強することで、従来と同様の強度を確保できる。大規模な掘削がないため、工期や費用を抑えられるという。
 同事務所の担当者は「近年の豪雨による被害を減らすために砂防えん堤は重要。住民の安全を早期に確保したい」と話した。
 同工法は道路のり面の工事で活用されている。えん堤建設で採用されるのは県内初で、全国的にも珍しいという。
 (松崎支局・太田達也)

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