記者コラム「清流」 戦後78年の涙

 秋晴れの下、島田市川根町の公園で戦没者慰霊祭があった。園内の忠魂碑には太平洋戦争などで亡くなった人々の名前と年齢が刻まれている。20代が多く、戦地に赴き24歳で終戦を迎えた祖父の姿が浮かんだ。
 亡くなって20年になるが、子どもの頃、戦時中の話を尋ねたことを覚えている。「なぜ戦争をしたのか」との孫の問いに、「そういう時代だった」と答えた言葉にどんな思いが込められていたのか。今も時折思い出して考える。
 自らも親になり、今なお世界で続く戦争の悲惨さを子どもにどう伝えていけばいいのか。悩むことがある。慰霊祭は涙を流す人々の姿があった。戦後78年が過ぎても遺族の悲しみが消えることはない。改めて強く感じた。当事者の姿、言葉の重みを伝え、思いに触れる機会を持ち続けたい。
(島田支局・寺田将人)

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